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そう頷く彼女。俺は自分の持っていたCDを戻し、
彼女の持っていたCDをレジに持っていった。
こうやって口実を作って会うのもいいけど
会いたいときに会える仲になれればいいのに。
「ありがとう」
「どういたしまして。ってかこれは俺が聞くために買ったんだけど」
「ひどーい」
さっきの仕返しをしてみた。
怒る彼女もかわいいな。これからどうしよう。
少し腹も減ってきたけど彼女はどうだろ?
飯まで付き合ってくれんのかな。
それとも一人またいつものうどん屋からーめん屋かな。
「あのさ、腹へらね?」
「あたしもそう思ってたの。
昨日とかもう何にも食べれなくって夜もあんまり眠れなくってって・・・
あたし何言ってるんだろ」
「そ、それって今日のこと思って?」
「う、うん。もし陽さんが来てくれなかったらどうしようって思ってて」
「来るに決まってるだろ。俺が言い出したことなのに」
「よかった。はあー安心したらほんとにお腹空きました」
「どこに連れていきましょうか?お嬢さん」
「ラーメンがいいです」
「ラーメン?」
「ダメかな?」
普通パスタって言われると思ったのにラーメンか。
ほんと飾らなくていいよな。
俺もラーメン食いたかったし、もちろん大歓迎ですよ。
「OK」
「よかった。あたしラーメン大好きなの。すっごく食べたかったんだ」
「ほんとすずちゃんはかわいいね」
「何で?そんなことないです!陽さんのほうがずっとかわいい」
俺がかわいい?27のおっさんだぜ。俺は。
それが20歳の子にかわいいなんていわれるとは思わなかったな。
かわいいのはすずちゃんだって。
この子は自分のかわいさに気付いてないもんな。
まあそこがいいとこかもしれねえけど。
そう思いながら俺は自分の行きつけのラーメン屋に彼女を連れていくことにした。
ラーメン屋に着くと彼女はメニューをじっと見ている。
餃子がうまいんだけどな。
あ、彼女も餃子が気になってるみたいだな。
「何にする?」
「ラーメン」
「それだけでいいの?ここは餃子もうまいぜ」
「・・・だってそんなに食べたら太るもん」
「そ?じゃあ俺すずちゃんの前でここのおいしい餃子を一人で食べるかな」
「ひどい」
「じゃ餃子も食べる?」
「陽さんの半分もらいます」
side Suzu
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