「ここに来たかったの」

「そっか。じゃあ入ろうか」


どうやらすずちゃんはCDショップに来たかったらしい。

下着屋じゃなくてよかった。

 もしかしたらなんて思ってたけどよかった。


「下着屋さんのほうがよかった?」

「すずちゃん」


俺を見てからかう彼女。

新曲見てくるねと一言言って見に行った。

こんな風に女の子と接するのはいつぶりだろう。

一番最近別れた女はこんなタイプじゃなかったしな。

でもほんと表情が変わってみてて飽きない子だなんて思いながら

ぐるぐる回ってると俺の好きなアーティストが特集してた。

おっ新曲でてんじゃねえか。

俺はそのCDを手に取ってみる。最近聞いてなかったからなあ。買うかな。


「陽さん、そのCD買うの?」

「え?」


すずちゃんにそう言われ、彼女の手元を見てみるとマジっすか?

俺のほしいCDを手にしている。


「すずちゃんもこのアーティスト好きなの?」

「うん。大好き。陽さんも?」

「うん」


こんな共通点があっていいのだろうか?

だってこれはもはや運命かと思いつつある俺。
 
俺の好きなアーティストを彼女が好きなんて嬉しすぎだ。


「じゃあさ、これ俺が買うから貸すよ」

「え?」


さすがにそれは迷惑かな。

また会ってくださいって言ってるようなもんだしな。

あ、でも・・・と言いかけると彼女はまた嬉しそうな笑顔を見せた。


「いいの?また会ってくれるの?」

「当たり前だろ。これ俺が買うから貸すまで聞くなよ」

「はい」





   


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