「陽さんはおっさんじゃないよ」
     
「え?」

「素敵な人。あたしのほうがおばさんみたいでしょ?」


この子はもうほんとにかわいいな。

さっきまで泣きそうに俯いてた彼女はそう言って笑う。

あーもっと一緒にいてえな。

でもまだ出会ったばっかだしな。


「かわいいよ。すずちゃんは。そうだこれからどうする?」


もう帰ろうか。といわれるのを怖がりながら問いかける。

本当はもっと一緒にいたいのにそれが言えないのが大人の悪いとこ。

いや俺の悪いとこか。


「あの、行きたいところがあるんだけど行ってもいいかな?」


マジで?どうやら彼女も俺と同じだと思っていいのか?行きたいとこ?

そんなの何処だってOK。着いていきますよ。

あ、でも下着屋だけは勘弁してくれ。


「どこだって着いていきますよ。あ、でも・・・下着屋は・・・」

「え?あ、アハハハ。違いますよ」

「じゃあどこ?」

「それはないしょ」

「どこだ?ま、とりあえずここ出るか」


笑ってるってことはとりあえずそこではないってことかな。

俺は払うと言った彼女の手を遮り勘定を払う。

店を出て彼女の先導でその店に向かって歩く。

それにしてもここ本当に一週間前は花火大会があった場所か?

あれだけいた人もほとんどいねえし。

そう考えると少し一週間前が嘘のように思えて仕方ない。

でも彼女と出会ったのはまぎれもなくあの花火大会だし。

時間が変わるとこうもこの場所も変わるんだな。





  


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