陽さんがCDを買ってくれて店を出た。


「ありがとう」

「どういたしまして。ってかこれは俺が聞くために買ったんだけど」

「ひどーい」


いきなりからかわれた。

さっきの仕返しだな。怒るあたしもあたしだけど。

なんかお腹空いてきたなあ。

でもそんなこと言ったら食い意地張ってる子だって思われたら嫌だしな。


「あのさ、腹へらね?」

「あたしもそう思ってたの。
昨日とかもう何にも食べれなくって夜もあんまり眠れなくってって・・・
あたし何言ってんだろ」

「そ、それって今日のこと思って?」

「う、うん。もし陽さんが来てくれなかったらどうしようって思ってて」

「来るに決まってるだろ。俺が言い出したことなのに」

「よかった。はあー安心したらほんとにお腹空きました」

「どこに連れていきましょうか?お嬢さん」

「ラーメンがいいです」

「ラーメン?」

「ダメかな?」


普通こういうときってパスタとか言うべきだったのかな?

でもあたしはラーメンが大好きだし。

でも男の人にラーメン食べに行こうなんて言ったら引かれるかな。


「OK」

「よかった。あたしラーメン大好きなの。すっごく食べたかったんだ」

「ほんとすずちゃんはかわいいね」

「何で?そんなことないです!陽さんのほうがずっとかわいい」


 かわいいのは陽さんだよ。あたしは全然かわいくないもん。

一緒に歩いてると悪いなって思うくらい。

陽さんの行きつけの店があるってそこにいくことになったんだけど

あたしはその間もずっとそんなことを考えていた。

女の子だけじゃ絶対行かないような店に着く。

メニューを広げて何にしようか考えていた。

あ、餃子がオススメなんだ。

でも餃子なんてにおうし、食べたらまた太りそうだな。


「何にする?」

「ラーメン」

「それだけでいいの?ここは餃子もうまいぜ」

「・・・だってそんなに食べたら太るもん」

「そ?じゃあ俺すずちゃんの前でここのおいしい餃子を一人で食べるかな」

「ひどい」

「じゃ餃子も食べる?」

「陽さんの半分もらいます」





  

    side Akira