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「それでいいよ。で?どうしたの?」 「あの・・・どうして彼女いないんですか?」 「え?」 こないだからずっと気になってた。 なんで彼女がいないの?こんなにかっこいいのに。 こんなにかっこいいのに彼女がいないなんて あたし立候補したくなるよ。 なんかほんと大人の男の人って感じだし。 大学にいる男子たちとは全然違う。 「んーあんまり考えたことないけどいたときもあったよ。 あんま長くは続かなかったけど」 「・・・そうなんですか」 「すずちゃんは?」 「え?」 「どうしてすずちゃんは彼氏がいないの?」 「あたしは・・・もてないですから」 あたしはもてない。モテてもなんか変な人ばかりだし。 付き合ったってうまくいかない。 陽さんの顔を見てられなくってあたしは俯いた。 「ごめん。俺、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。 すずちゃんかわいいし、 何で彼氏がいないのかなって思って」 「かわいくないですよ。デブだし。 それにあたしちゃんと好きな人と付き合ったことないんです。 紹介されたりして、 ま、いっかって付き合ってそれなりに好きになっても 本気になれないからすぐふられちゃって・・・」 かわいいなんて嘘つかなくったって分かってる。 あたしはかわいくないもん。 普通の大学生みたいにかわいい格好もできないし、 いつもジーパンばっかり履いてる。 スカートだって似合わないの分かってるけど、それでも履きたかったの。 あ、泣きそうだ。 そう思ったときあたしの頭を陽さんが撫でてくれた。 「もっと自信もっていいと思うよ。 すずちゃんはかわいいって俺、本気で思うから」 「・・・陽さん」 「後さ、敬語やめよ。なんか俺、おっさんみたいだしさ」 顔を上げると苦笑いしてる陽さん。 おっさんなんてあなたは十分素敵なのに。 全然おっさんじゃないよ。あたしのがおばさんみたいだよ。
side Akira
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