An opening of such a love



〜Suzu〜




暑い。暑い暑すぎる。あたしは何でここにいるんだろう。

断ればよかった。

大学の友達に誘われて花火大会に来たはいいけど、

女だけで花火大会なんて来るんじゃなかった。

どこを見てもカップルばっかり。しかも人多いし、酔いそう。


「ねえすず、花火大会行こうよ」


あたしは設楽すず。大学2年生。ただ今彼氏いません。

そして誘われて嫌とはいえない性格。

仕方なしに愛想笑いで返事したものの本当は行きたくないの。

彼氏と別れてそういうイベント的なものは全部無視してたのに。

あー行きたくない。

でも断れない。結局出ていく寸前まで行きたくないを連呼してお母さんに呆れられた。

ほら浴衣着てみんな彼氏と歩いて

あーうらやましいのかうっとおしいのかの区別すらつかない。帰りたい。


「花火楽しみだよね」

「浴衣かわいい」

「あー着たかったな」

「・・・ほんとだね」


友達2人と合流して適当な会話に相槌を打つ。あーしんどい。

だいたい浴衣が着たければ着てこればいいじゃない。

彼氏がいないと着ちゃいけないなんて決まりはないんだし。

あの子たちだって浴衣着てるけど、女の子ばっかじゃない。

なんか卑屈に感じてきた。

そんなに彼氏ほしいならそれなりに頑張らなきゃ無理でしょ。ってあたしもそうか。


「それにしても暑いよね」

「うん」


暑かったら来なければいいのに。

大体ねこんなとこまで来なくたって近場でも見れるのよ。

別に花火に興味があるわけでもないし、

こんなとこに女だけで来るなんて彼氏いませんってアピールしているようなもんでしょ。

あー帰りたい。ってあたしさっきからこればっかり。だって本当に行きたくないんだもん。


「すずは行ったことあるの?」

「ううん。初めて」


だからこういうイベントのときに限って彼氏いないんです。

しかもね、まともな男と付き合ったことすらありません。

あーほんとこのまま行けばあたしちゃんと好きな人どころか

彼氏なんて一生出来ないかもしれないよー。

               
                



  

         
  side Akira